南アフリカ共和国ケープタウン発カルチャー&ビジネスニュース

この時期、ここにいるからには切っても切れないもの、そうワールドカップ!!
ケープタウンにもつい、二ヶ月前にようやく完成したぴっかぴっかのスタジアムがどうだ!とばかりにたたずむ。真向かいに住む私は、期日に果たして間に合うのかと、ずいぶん気を揉んだものだ。
けれど、周辺道路は今でも工事中で、そこでレンガを敷くおじさんたちは最近、休日返上で、わき目も振らずがんばって作業を続けて…いるかと思えば、最近はすっかり顔なじみの私に、
「今日もかわいいね!」
と見え透いたお世辞を言うことも忘れない。そしてもっと話を引き伸ばそうと試みる。この調子では、このエリアはきっと穴ぼこだらけの道路で当日を迎えるに違いない。
でも、こっちの人はそうやっていつでも女性を褒める事を忘れない。髪型、服装、メイクなど、いつもとのちょっとの違いを見つけて褒めちぎってくれる。日本にはないすごく素敵な文化だと思う、褒められて嫌がる女の子なんていないし、何より人間関係を良好に保つすごく有効な手段だと思う、草食系日本男児にも是非見習って頂きたい。豚でもおだてられたら木に登れるのだから!
とにかく工事中の箇所も多々あるものの、開会式を今週末に控えた今、スタジアム周辺はずいぶん綺麗になってしまった。こっちに来たころは、どこもかしこもでこぼこの砂利道で、砂埃をかぶらずに歩くのは不可能だったのに、今ではベビーカーもすーいすいだ。当時はそれはそれで味があって私は好きだったのだが、今のケープタウンはハイジが化粧をし始めたみたいな感じで、その成長を目の前でただ見守るしかない身分としては、うれしいようなさみしいような複雑な心境なのである。
他にも、駅前にある巨大なパブリックエキシビジョンの警備が昨日から始まった。もとは、いつでも小さな露店が並ぶ市民の広場だったのが、今やぐるりと鉄格子で囲われ大きなステージとモニター、たくさんの椅子で埋まる。
露天を営んでいた彼らはというと国から与えられらのであろう、みんなそろいの真新しい白いテントを一列に並べ、そのエキシビジョンのすぐ隣で何事もなかったのかのように商いを続けている。むしろ新しいテントを受け取って嬉しくて、そのビジョンの隣に自分の店を構えられるのがもっと嬉しいらしい。バナナの山もいつもより大きくなっていた。
さて着々と準備の整う町並みだけれど、そこに住まう人たちはというと…
正直言って盛り上がっていない。何故ならいまだに観光客が全くと言っていい程いないのだ。町に出ても、どこのレストランもパブも、ホテルでさえ静寂を保つ。
同僚のアルマンドは肩を落とす。
「四年以上前からケープタウンで働く者はみんな、この時を待っていたのに、どうしたんだ。」
彼は、ワールドカップが終わったら、もう飲めもしない酒を注ぐのはやめるんだ、というのが口癖だったから、今の彼の心境は私には計りかねない。四年という歳月の結果がこれだとしたら、悲しすぎる。
ケープタウンに住まう人はみんなサッカーを愛し、ワールドカップを待ち焦がれている。でも、それでも盛り上がりに欠いているのは、ここが観光地だから。観光客のいない観光地はえびの入っていないエビフライみたいな…なんともわびしいものなのだ。みんな、肩すかしをくらった格好だ。
自分たちで盛り上がろうにも、彼らには日本人のようにたくさんの予算も時間もない。至るところでブブゼラの音を聞いたり、世界各国の国旗、特に南アフリカのものを目にする機会は増えたが、それが私たちなりの盛り上がりの限界なのだ。
いや、私たちはワールドカップで盛り上がりたい、という気持ちよりも盛り上がってもらいたい、という気持ちのほうが大きいのだ。ひいては私たち自身のためでもあるにしろ、世界中から訪れる観光客たちにこのお祭りを楽しんでもらいたい、ケープタウンをもっと知って、もっと好きになってもらいたい、と切に願っている。あなたにもきっと感じ取ってもらえるはず、この意気込みが。どこもかしこも新しくておしゃれだ。全てはあなたたちのため!
新しいビルが林立した。どこのレストランもホテルも、この時のために多くの人を雇った。夜中には毎日たくさん清掃員が町中を掃き清めているし、我がストリップクラブも三度に及ぶミーティング、新システムの導入もした。
今のケープタウン、さいたま新都心には負けるけど、川越より綺麗です!!
私たちは首をキリンにして待っています。あなたの訪問と、あなたのかけがえのない時間を、ここケープタウンで楽しんでくれることを。
宮城ゆかり
1985年9月6日生まれ / 埼玉県出身
山崎豊子さんの二つの祖国に感銘を受け法律に興味を持ち、法律家を志すもあっさり挫折。かろうじて大学卒業後、OLになるものの一年で挫折。類い稀なる健康体で小学生以来風邪も引かず、虫歯もなく、チャレンジ精神が旺盛なのが取り柄だが先読みが足らず後悔することが大半。
ケープタウンが大好きだけれどおばあちゃんの冷や汁も恋しいと思う24歳。
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(最終更新: 6月 8 日 22:10)